博士と狂人 を見ました

すごくよかった。ドッ好み。オススメです。
"人生"でした。

・舞台設定がよすぎる
19世紀のイギリス、皆好きでしょ?私は大好き。
それが主題の話ではないんだけど、階級や血筋、学歴、貧富の格差がにじみ出てくるんですよ。
未亡人が見違えるような格好になるところとか全然強調しないのに色々と察せられる。素晴らしい。

・博士と狂人
光と闇があまりに濃くて悲しくなるほど。子沢山で愛妻と睦まじくやってる博士と、孤独で被害者家族への想いに悩まされる狂人の差がえぐすぎる。
それらの差を意に介さず、ただ"言葉"を通じて友情が育まれるのがよい。

・未亡人と婦人
途中「えええそうなるの…!?」とはなったけど、恋愛要素はあくまでフレーバーというか、主張しすぎず丁度よい感じ。
主役を食ってないのに存在感がちゃんとあって導き手ともなり帰る場所ともなる女性、あまりに素晴らしい。

・随所のイギリスらしさ
私が見るイギリス舞台の映画ってだいたいチャーチルが出て来るんですけど…(なんで…)、他に共通することとして、「言葉」の大切さはどの映画でも感じます。
作中でも出て来るとおり世界の図版を変え、英語を共通語にし、議会制もいち早く整えたからでしょうか。議論に物怖じしないしスピーチへの力の入れようが違いますよね。
特に辞書というテーマがある映画ということもあり、印象に残る台詞がたくさんありました。
"It lives on." 好き。

あと王権主義なところとかね…笑

・辞書づくり
やっぱ「まだAなんだぞ!!」は聞きたい台詞だよね。

・罪と罰
この映画の主題ですよね。
いや、狂人側の主題ってことになるのかな?
まず顔に焼き印するのってほぼ殺人みたいなものじゃないですか。
それだけであれほどの罪の意識に苛まれるのに、さらに妻子を持つ男性を殺すとかそりゃ正気に戻ろうとすればするほど耐えられるわけがないんですよね。
あまりに苦しくて、今でもふとあの葛藤に意識を持って行かれます。
罪悪感から狂ったのにさらなる罪を積み上げて、積み上げて、積み上げていく…救いがなくて、でも最後に少しだけ救いがあって、なんというか"人生"だなあと思いました。
看守が最後にお供するの、あれも彼の罪と罰なんだろうな。



パンフレット買ったんですけど俳優の話より辞書づくりの話が聞きたかったな!と思う。半分は評論家の評論が掲載されてるだけだし…洋画のパンフレットってこんなもんなの?
プロメアのパンフレットに慣れて贅沢になっちゃったかしら。