イニシェリン島の精霊 を見ました
とても面白かったです。すごく好きな映画です。
ただしこれを人に勧めるのはかなり気心が知れた仲でないと無理ですね。
予告だけちらっと見て、(まあ何か仲違いの原因があるんでしょ…内戦に関係してるのかな…)などと思っていたのですが、まさか本当にただ性格の不一致とは思わず腰を抜かしました。
その後もエンタメのお約束的なものはほとんどなく、淡々と綴られる閉塞的な人間関係…間と要領の悪い主人公…意地悪ではないが冷ややかな周囲…見ていてめちゃめちゃ息苦しかったです。
主人公が勝手に男の子を家に泊めたときとか、妹がレイプされるんじゃないかと気が気じゃなかった。それくらいどんどん暗闇に向かっていく映画なので…。
もう本当に妹とロバと犬が救い。だからこそ終盤はつらかった。
でも「自分の指を落とす」と脅して本当にそれをやるお爺ちゃんの潔さがめちゃめちゃ好き。
途中で一瞬だけ昔の空気に戻る二人が好き。
家畜の死の痛みを同じだけ分かち合える二人が好き。
誰にも絶望を悟らせないまま死を選ぶ男の子が好き。
特にニュースはないよと妹に伝える主人公が好き。
家に火をつけられるところまでは意地でいつも通りの場所に座って、主人公がいなくなってから逃げるお爺ちゃんなんて、本当に馬鹿な喧嘩だなって感じでめちゃめちゃ好き…。
なんだかとっても好きなところが多い映画でした。不思議。
すぐそばで起きている内戦に意味はないけど、アレがないと駄目なんだよなと思わせるバランスもすごいなと思います。
総じてとっても大好きな映画。
でもオススメはしません。
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