スザクくんの話

ようやっと気持ちも落ち着いてきたので長文を書こうと思います。


スザクくんの話をする前に私がオタクとして何を求めているかを書いておきます。自分語り失礼します。

私はあんまりそのキャラクターの幸せに興味がありません。傍目から見ても不幸な子はとても悲しい気持ちにはなりますが、二次創作で幸せにしてやる!!という気持ちはそんなに芽生えません。

私が一番見たいのは、面白くて心に残る物語と、何かをやり遂げる主人公です。

キャラクターの幸せより、何をしたいのか、何をしたのかがとても気になるオタクです。


スザクくんは非常に難しい立場にありました。作品の内外を問わずです。

今でも視聴者から枢木スザクとそのファンが非国民と、たとえ冗談半ばにしても、呼ばれているのを見たときの衝撃は忘れられません。

果たして公式がそこまで意図していたのか私には推し量れませんが、まさに作中で言われている通りの罵倒を、この現実世界でも彼は受けていたように思います。

それはきっと微妙に現実世界に寄せた歴史設定と、何より「日本」という強い固有名詞が作中で扱われ、物語のキーワードになっていたことが大きいのでしょう。当時からどうにも必要以上に視聴者が感情移入しているような気がしていました。これはコードギアスという作品の偉大さの表れでもあるのですが。


そんな中で私はスザクくんのことが好きだったので、たくさんいいところ探しをしなければなりませんでした。

それは簡単でした。彼は優しく、思いやりがあり、勇敢で、いざとなれば自分の身をもって誰かを守れる人でした。

そのことがわからないという人をたくさん目にしました。最初はつらく悲しかったです。でも慣れました。この作品はそういうものという諦めもありましたし、同好の士は少なくないと思えたからでもあります。

おかげでTV版完結から復活の公開まで、私はスザクくんのことがずっと大好きでした。

ただひとつ、万が一にも、完全新作である"復活"で彼を嫌ってしまうことだけを心配していました。


だから復活を見たとき、一番大きな感情は安堵でした。

スザクくんは優しく勇敢なままでスクリーンに立っていました。

彼自身の意志で、ルルーシュの復活を喜んでいました。

私にはそれがとても嬉しい。彼ら二人の功罪は、その贖罪のバランスは、傍から見たら疑問に思うところがあってもしようがないとわかっていますが、それでも嬉しい。

スザクくんが自分の身を顧みずに親友の無事を喜べる男の子だったことがとても嬉しいです。

自分自身の倫理観に縛られ続け、ねじ曲がった道を辿ってきた彼が、明らかに倫理に反する復活劇を喜んでいる。グロテスクな構図と感じながら、それでいいと思いました。だってこれ以上は望めないからです。ユフィの死を受け入れ、下手人の生を喜んでしまうことが、彼にとって一番苦しまないことだと納得できるからです。


ただただ、これ以上の苦しみが彼に降りかからないことだけを祈っています。