「英仏百年戦争」佐藤賢一
タイトルは英仏百年戦争だけど論を「そんなものは存在しない」に置く愉快な本。
筆者の顔が見える文体で、読んでいると「人は何故こうも無邪気に歴史を信じるのだろう?」と頭を抱える論理的なおじさまの顔が浮かぶ。
主としてイギリス人のシェイクスピア症候群を批判しているけど、フランス人にも同じくらいの切れ味で突っ込んでいる。
全体としては百年戦争(とされるもの)の主な出来事を逐一追いながら、その背景と影響を解説しているので読みやすい。
国民国家というものがどのように醸成されたか理解する一助になった。
著者略歴を見ていると本職歴史家ではなく物語作家みたい。なのにシェイクスピア症候群を渋面で見ている様子がユーモラスだった。
「なかんずく」がしばらく口癖になりそう。
0コメント